2012年1月27日金曜日

マスザキヤ

阪急梅田駅のBIGMAN向かいに、「マスザキヤ」という毛糸屋さんがあります。

二十歳くらいのころからちょくちょく立ち寄っているけど、
あんな一等地の真ん中で、よく息の長い営業を続けていられるなー、と
長年不思議に思っているのです。

何にせよ手芸店不毛の梅田界隈において、貴重な一店ということに変わりなし。
まぁ最近ユザワヤさんも三番街に進出なさいましたけれど、
どうも大型店の毛糸コーナーというのは、陳列具合からうかがい知れる愛情が
希薄というんでしょうか。
その点マスザキヤはそもそも毛糸の専門店なわけですからネ。
圧倒的な量のストックを、なんというか「話が早い」レイアウトでまとめて
あって、そこは毛糸を熟知したおばさま方(店員)の手腕によるところと
推測しますが、ひとたび店内に足を踏み入れると、やっぱり気分が高揚するんですよね。

あと、あの狭さがいいのよ。多分3~4坪くらい?
狭小空間に天井の高さまでギッシリ詰め込まれた色とりどりの毛糸。
主にツィード系やスパンコール、ラメなんかの変わり糸が多い。
客も店員もやっとの思いで細い通路を行き来する、密な空間。
店員のおばさんは常時4名ほど番を張っており、なんかいっつも
他愛もないおしゃべりをしています。
もちろん、ちょっとした手編みに関する質問にも親身にこたえてくれる。

去年の夏、私がコットンの毛糸を物色していると、店の前に女性の浮浪者が
やってきて、店内に向かって卑猥な言葉をがなりたて始めました。
ほどなく警官がやってきて浮浪者をいずこかへ連れて行きましたが、
店員のおばさんたちは「こわいねぇ~、あんなん。」などとさざめいた後、
なにごともなかったかのようにそれぞれ所定の作業に戻り、私も毛糸の
選別に意識を戻したのでした。

手芸を、しかも手編みをする人にとって、浮世のいろんなことはしょせん、
「毛糸を編む時間のすきまに起こるちょっとしたコト」ぐらいなもの
なのかもなー、と、今になって思うのですが、あの浮浪者の女のひとは、
マスザキヤのそのような雰囲気が、もしかしたらうらやましくて意地悪な
ことを言ったのかもな、なんていう風に考えもします。
彼女はずっと、「インバイ!知ってるぞ、おまえらのやってること!」と
叫んでいたものですから。

そんなマスザキヤは現在1月31日までの大特価セール中!
22万円の手編みセーターも、破格の9万9千円になっている模様。
こりゃも~、行くっきゃないね~。




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